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BATONERを受け継ぐ
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男女問わずお洒落な人に、「そのニットいいね、どこの?」なんて聞くと、「おばあちゃんの」だとか、「親父の」だとかいう答えが返ってくることがよくある気がする。そういうニットは決して流行りの見た目ではないけど、着る人にとてもよく馴染んで、素敵だ。受け継がれるものだけが持つ風格を備えている。

私が思うに、2013年にスタートした日本のニットブランド〈バトナー〉は、先述のニットに通ずるような 受け継がれるべきニットづくりをしている。
〈バトナー〉のニットは、1951年から続く山形の老舗ファクトリー、奥山メリヤスから生み出された。クラフトマンシップにより、古きよき伝統的なニットを新しい解釈で、というのがコンセプトだ。

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〈バトナー〉のニットを着ると、「古きよき伝統的なニットを新しい解釈で」というブランドコンセプトに大いに納得できる。見た目に大きなインパクトはなく、いたってシンプルなザ・ニットだが、着て初めて シルエットが細部まで行き届いていることに気付き、それが極めて現代的でもあることに驚かされるのだ。もちろん、素材や作りの良さも素晴らしく、実際とてもあたたかい。

ただ このニットの魅力は、そういったファーストインプレッションに留まらない。まだ誰も袖を通していない時から感じる静かな意思表示は、1シーズン着ると、さらに強いものへと変化する。丈夫で、着るほどにより身体に馴染み、奥深さが増していく。本当の価値が後で分かってくるから、買ったときよりも2、3年後により着たいと思えるニットなのだ。

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エアエイジで〈バトナー〉を扱うのは、今期で2年目だ。お客様の声や、私たちの体感を通して、今年も集中してバイイングさせてもらい、待望の新作入荷となった。
年月を重ねるごとに着たいもの。消耗品ではないニットを、今後も大事にお客様に届けていきたい。

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“BATONER” の “BATON” は、バトン。ブランド名は「バトンを継ぐ者」という意味で、先人により築き上げられてきたニットの技術を未来へ引き継ぐ、という老舗ファクトリーだからこその願いが込められている。そしてたぶん、出来上がったニットを受け継ぐことも、想定されている。
着用を重ねてもへたらず、時代を超えた美しさを持つニット。大事に着続けて、将来もし孫ができたら、譲ってあげたい。

「そのニットいいね、どこの?」
「おばあちゃんが着てた〈バトナー〉のニットなんだ」

こんな素敵な未来も、夢じゃない気がする。

BATONER HP

文:山田ルーナ






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