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村上龍の小説が好きだ。
頭の中にバーっと映像が流れていくような、そんな感じ。とてつもない疾走感があって、そしてビビット。そう、鮮やかなのだ。そんな鮮やかさが、私は好きだ。

年始に村上龍の「ライン」を読んだ。寒い時期を背景に描かれているんだけど、やっぱりとても速くて、ビビットだった。
ただ、最後のシーンで(未読の方ごめんなさい)登場人物のひとりの女性がワグナーのたしかパルジファル序曲を聴きながら川沿いを歩くんだけど、そこだけ珍しく穏やかな色味を感じた。何というか、“一見”普通の日常的光景。朝がやって来る前の空の色と、それを映す川の色と、そしておそらく洩れている、彼女の白い息。神々しい音楽に乗せる呼吸。
それらが混ざり合った、すこしの透明感を持つ青色が、頭の中に残った。筆にたっぷり残ってしまった絵の具を、バケツの水に溶かしたような色だった。

だけど、綺麗な色ではあるんだけど、私にはちょっぴり怖かった。穏やかであったり、普通であったり、そんなものの中に、とんでもなく強いメッセージが隠れていたりする。実は、目に見えて鮮やかなものより、強烈な何かを孕んでいたりする。

私は、このシーンを歩く女性はどんな格好をしているべきか考えた。
見た目は「普通」だが人と違う心孤独な女性が、太陽を待ちながらひとり静かに散歩する朝、何が似合うか。


・・・〈ヤエカ〉のシャツはどうだろう。普通といえば普通の、当たり障りのない〈ヤエカ〉のシャツ。

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〈ヤエカ〉のこれら日常的なシャツは、まさにイメージにピッタリだった。

かたちが綺麗で、絶妙に肌触りが良い。
別に彼女は、お洒落が好きではないと思う。だけど、ワグナーを聴いたりカンディンスキーが好きだったり、良いものを知っている人が、散歩にさらっと着るのに〈ヤエカ〉ほどカッコいい服はないんじゃないか。このシーンは冬だからアウターも着るだろうけど、でも特にはこだわらない。例えばコートの間から、ニットの裾から、ちらっとしか見えなくても 隠れてしまっていても、自分だけが知っている拠り所。誰に気付かれなくてもブレることのない、確かなもの。
そんな強さが、〈ヤエカ〉の「普通さ」の中にはある。
ブランド名の〈ヤエカ〉とは、八重日。8を重ねる日と書いて、ヤエカと読む。 日々重ねていく、デイリークローズという意味で名付けられたそうだ。日常の中で無意識に使っている、まるで日用品のようなお洋服。スタンダードなデイリーウェア。

作家で言えば、村上春樹の小説に出てくるような人物の方がむしろそれっぽいかもしれないが、「ライン」の上記のシーンでは、私はやはり、彼女に〈ヤエカ〉を着せたい。


「普通」こそ、実は強い何かの、裏打ちの元にあるものだ。
個性や、こだわりが、きっと最も顕著にあらわれるものなのだ。
それは、性別や、年齢や、社会的な地位など関係なく。



ピンとこない方もいたかもしれないが、とにかく思うのは、今年も服を楽しみたいということ。
他の誰でもなく、自分の想像力を、うんと働かせて。

心燃やす日常着を着て、ワグナーでも聴いて、残りの冬を過ごそう。



今年も皆さま、何卒、エアエイジをよろしくお願い致します。



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