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わたしの定番
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FEATURE vol.15

たとえば、ウェス・アンダーソンはいつもクラークスを履いているなぁ、とか、ピカソはバスクシャツが似合うな、とか、ふとした時に引っかかることがある。そして思う。どうしてあれは、彼の、彼女の、「定番」になったんだろう。

もちろん身近な人でも。彼女はいつも左手の中指にあのリングをしてるな、とか、彼は決まってジャックパーセルを履いてる、とか。そんな感じで 些細な“こだわっていそうな”ところに気が付くと、その人のことを前よりすこしだけよく知れたような気がして 嬉しくなったりするものだ。この話題をきっかけにして会話が始まれば、もっと素敵だろう。


そんなことを考えているうちに、エアエイジなりに「定番」にフィーチャーしたシリーズを始めてみたいと思い立った。
題して「わたしの定番」
誰にだってひとつくらい、「定番」があるんじゃないだろうか。今の「定番」、そして今後「定番」にしたいもの。他人のそんなところを聞くのは、きっと短編小説を読むようで 面白い。

そこでこのシリーズではエアエイジをより知ってもらうきっかけとして、当ストアスタッフの「定番」を紹介してみたいと思う。

vol.1である今回は、エアエイジのメンズバイヤー小原氏にフィーチャー。
実は筆者は以前から、小原氏がどんな時にでも着けているシルバーバングルが気になっていた。冬でも、夏でも。見えても見えなくても。冷たいイメージのある素材だけど、「いつも」着けていることを知っているから、最近では見た目にも温度を感じる。
きっとこのバングル、小原氏の「定番」に違いない!

  • FEATURE
−小原さん、そのシルバーのバングル、いつも右手に着けていますよね

気付いてましたか?思えば4、5年前からずっと…基本的に毎日着けている気がします。
〈ファンタスティックマン〉のバングルです。


−やっぱり「定番」だったんですね!実はわたし、小原さんのバングル気になっていたんです。着けることになった“きっかけ”、何かあるんですか

ちょっと長くなるんですけど…実はこのバングル、どちらも元は人のものなんです。僕はそれまではずっと、〈ジルプラットナー〉のブレスレットを2つ、お守りみたいに着けていて。
ある時、僕の友人が長期フィジーへ行くことになったんだけど、もうこれでしばらくお別れなのになんの送別の品も用意してないぞってことがありまして。それで僕、「これ!」って咄嗟に渡したんです。僕が着けてた〈ジルプラットナー〉のうちの一つを。そうしたら彼が、「じゃあ僕はこれ、お互い頑張ろうな」って、自分が着けていた〈ファンタスティックマン〉をくれたんです。それがこの、細い方のバングル。
頑張ろうなって、お互いにいつも身につけてたもの交換するの、なんか男臭くていいですよね。結果的に送別の品用意してなくてかえって良かったなと。(笑)
太い方は、エアエイジの祖父江とお互いのもの交換しようって言って、それで〈ジルプラットナー〉と交換しました。


−…予想以上に素敵なエピソードを聞けて感動しました。自分が大切にしているものに、それぞれ語れるストーリーがあるって、すごくカッコいいことですね

自分にとっては、“語れるからこそ”大切にできるってところがあります。だから、物を買うタイミングっていつも意識していて。でも意識しているからといって、すぐにやってくるわけじゃないんです。大げさかもしれないけど、本当に必要な時…自分にしっくり馴染む時に、きちんとやって来てくれると思います。

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−これは今後皆さんにお聞きしたいと思っているんですけど。小原さんにとって、「定番」があることとはなんですか

僕はどちらかというと、服には定番を求めていなくて。服はまだまだ、今だから着たいスタイルとか、ある程度柔軟性を持って探求していきたい。
だけど装飾品は、僕の中ではそういうスタイルとは無縁で、服に合うから選ぶとかじゃなく…長い年月を共に過ごすものだと思っているんです。たとえば、家具とかもそうです。節目節目に迎え入れて、その時々の思いを込めておけるものだと感じます。それでアルバムを見るみたいに、ちょっとしんどい時とか踏ん張りたい時、新しいことにチャレンジする時…ポジティブに今を生きるための力をくれる。何が大事かを思い出すための、指針になってくれるんです。

だから「定番」とは何かというと…やっぱり、変わらずブレることのない「自分の軸」、ですかね。


−良いお話を聞けました。それでは最後に、今後歳を重ねていく上で、「定番」にしていきたいと思うものはありますか

うーん……金。(笑)ゴールドジュエリー。やっぱりジャンルとして「ジュエリー」って定番は変わらないと思うんですけど、30代40代と歳を重ねて、ここだってタイミングがあったら、金を身につけてみたい。今じゃまだ全然馴染めないと思っているので、憧れなんです。あとはスーツを着てみたい…これは定番とは少し違いますね。(笑)


−いつの日か、ゴールドジュエリーに、スーツ姿の小原さんも、楽しみにしています。ありがとうございました!

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以上が小原氏の、今の「定番」。なるほど、やはり、良いストーリーを聞くことが出来た。これらのバングルが、前の持ち主とそれぞれ過ごした時間、聴いてきた音や映してきた色、吸ってきた匂いにまで想像が及ぶ。そのすべてが今、小原氏に少なからずパワーを与えているのだろう。

やっぱり「定番」って、面白い。これを機に、あなたも自分の「定番」について考えてみませんか?もし今「定番」がないのなら、エアエイジで見つけてみませんか?

それでは、また。次回の「わたしの定番」も、お楽しみに!





文:山田ルーナ






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