FEATURE
vestという選択
高く澄んだ秋空が美しい季節になった。少し冷たい風が稲穂を揺らし、独特の木漏れ日の中をとんぼが飛んでいる。もう、すっかり秋だ。そしてきっと、あっという間に冬になる。
―――こんなことを生活の中に感じるとき、ついアウターやニットのことを考えてしまう。そろそろ着れる季節だな~と、新調したくなる。「去年はベーシックなアウターを買ったから、少し違うのを買おう」「去年のあのニットよかったから、色違いを買おう」と、こんな風に。
そんな方たちに、今、あえて言いたい。
新しいアイテムはもちろん良い。だけど結局、「秋冬だ、ニットだ、アウターだ」と 買い物が一辺倒になって、コーディネートにマンネリを抱えていないか。ワードローブに、日の目を見ない服が何着あるだろうか。
そして続けて、おすすめをしたい。
どうせ新しいものを迎えるなら、この秋冬にこそ、今まで後回しにしてしまっていた vestを選択 することを。
ベストといっても、もちろんダウンベストではない。バック・トゥ・ザ・フューチャーのマーティみたいなダウンベストは取り入れやすいけれど、ファッションコンシャスな人には あまりに普通だし、物足りないだろう。(マーティはもちろん格好いいけれど)
エアエイジで特に種類を多く揃えているのは、〈エンジニアド ガーメンツ〉。オーバーベスト、アップランドベスト、フォールベスト。どれも所謂「ベスト」という概念を超えて、インナーのようでいてアウターとしても着られるし、アウターのようでいてインナーとしても着られるアイテムだ。面積は小さいけど、だからこそ無限の可能性を持つベストは、今まさに手に取るべきアイテムだと思う。
ちょっと高度にも見えるけれど、グラデーションにしたり、全体を2、3トーンに抑えれば、決して使いづらいアイテムではない。今年アウターとして使うなら、クルーネックのスウェットやタートルネックなど、リラックス感のあるインナーを合わせるのも可愛い。シャツを合わせるよりは「ベストらしさ」が薄れるし、こなれた感じがする。インナーとして使うなら、ルーズシルエットのアウターに。ちらっと見えるくらいだから、色や柄で思い切って遊んでみても面白い。
でも、1枚取り入れるだけで、どうしたってかっこいいのだ。沢山のメリットがなくったって、かっこいいって理由だけで、きっと十分。
だってファッションって、そういうものじゃないか。だからファッションって、面白いんじゃないか!
だから、みんながこれを読んで、こう思ってくれたら嬉しい。
よし、この秋冬こそは、vestを着よう。
文:山田ルーナ