FEATURE
unfil、特別な1本の糸

〈アンフィル〉と声に出してみて、美しい響きだな、と思う。フランス語だと聞いて納得。
un fil
意味は、〈1本の糸〉だそうだ。

〈アンフィル〉は2017年、ニットブランド〈イリアンローヴ〉でデザイナーをしていた小松さおり氏と、藤原将平氏によって立ち上げられた。ブランドコンセプトとしているのは、「シンプルだけど特別な洋服」。良いと思える素材にはじまり、シルエット、ディティールにこだわり時間をかけてつくられた、上質なアイテムが魅力だ。着心地がよく気軽に着られるが、そのお洋服を通して、日常に特別な意味が生まれる。


独自の世界観はメンズレディース共に毎シーズン魅力的だが、特にレディースにおいては その程よくリラックスした「可愛らしさ」がどのブランドとも被らず、際立っているように思う。
エアエイジのバイヤー松田氏にとっても、〈アンフィル〉は特別な存在だ。松田氏がデザイナー小松さおり氏のつくる洋服に出逢ったのは、およそ10年前。バイヤーを始めた頃、「なんて可愛いニットだろう」と初めて新規ブランドとして買い付けたのが、〈イリアンローヴ〉だった。そして小松氏が〈アンフィル〉を立ち上げてからも、その感動は変わらないという。


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シンプルなんだけど心惹かれるものが、小松さんのつくるお洋服にはあります。「なんて可愛いんだろう!」とワクワクさせてくれるものづくりは10年前から変わらず、〈アンフィル〉の展示会でも、毎回必ず新鮮な感動を与えてくれる。そして着た時には、キラッと小さく輝くような、ささやかな特別感を感じられます。だから、それだけで目立つお洋服とは違い、着るぞ、よいしょ、と頑張らなくていいことも魅力ですね。肩肘張らずに、本当に気持ちよく着られる服です。私自身、次のシーズンがいつも待ちきれない気持ちになる、大好きなブランドです。

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「着るたびに嬉しくなるニットです」松田氏の私物ニット。一見シンプルだが、随所に細やかな心遣いを感じる。(左は2018AWのunfil、右はilian loab)

〈アンフィル〉のお洋服を着ることって、日用品を自分の気に入ったものにアップデートする感覚に近いのかもしれない。つまり、家に大きな絵を飾ったりとか、天井に付くくらいの観葉植物を買ったりとか、そこまでの特別な変化じゃない。例えば、鍋つかみを好きなテキスタイルのものにする、とか、トースターを美味しく焼けるものに替える、とか、フォトフレームをインテリアショップで探して買う、とか。そういう些細なことだけど、自分の心を確実に豊かにしてくれる感覚が、アンフィルのお洋服にある。

それはやっぱり、「選ばれるべきものづくり」をしているからだろう。〈1本の糸〉からこだわり、かたちづくられるまで、相手(こちら側)を思いやることに妥協がない。だから私たちは、自然とそれを手に取り、自分の生活に溶け込む様子を無理なく想像することができる。そして気がついた時には、〈アンフィル〉を通してひとつ、自分が豊かになっているのだ。


エアエイジでは3月16日(土)~ 3月24日(日)の期間限定で、「unfil more variation fair」を開催する。ぜひ、ふらっとお立ち寄りいただき、実際に手に触れていただきたい。その途端にきっと、日常の中の特別な自分に気づけるだろう。


unfil website

文:山田ルーナ






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