FEATURE
Rosaria Product.のバックルベルトでまだ見ぬ買い物体験を。 / PEOPLE
  • PEOPLE
PEOPLE vol.3


しょくにん【職人】と辞書で引くと、「手先の技術を使って仕事をする人」と書いてある。たとえば、大工・左官など。自ら身につけた熟練した技術で、つまり手作業で、物を作り出すことを職業とする人たちのことだ。寿司職人や家具職人など、後ろに職人とつくものを挙げるとイメージしやすいだろうか。

フランス語では、artisan(アルチザン)。これはしばし、芸術家を意味するartist(アーティスト)と対になる言葉として用いられる。時に 技術的には優れているが芸術性に乏しい作品への批判的な意味で使われることもある言葉だが、近年では伝統工芸などの技術維持が世界的に注目されていることもあり、その存在が重要視されつつあるそうだ。芸術は本来、熟練の技術なくして語ることのできないものである。そういう意味では職人=artisanは、静かな芸術家とも言えるのかもしれない。


「職人に憧れているんです」と話すのは、エアエイジメンズバイヤーの小原氏。
エアエイジ『PEOPLE』は、そんな小原氏が企画した〝人(職人)〟と〝人(お客様)〟をつなげるためのシリーズである。ファッションという垣根を超えた ものづくりは、消費という枠に収まらず、特別な体験を提供してくれたりする。そんな体験を、お店に訪れる方にお届けしたい。


  • PEOPLE
|エアエイジバイヤー小原氏


第三弾となる本記事では、4月29日(土)30日(日)に控えたベルトのオーダーイベントについて。ビンテージのバックルを軸に、革職人による本格的なアドバイスや計測のもと、世界に一点だけのベルトを作ることができるイベントだ。

今回も、テーマとなるアイテムとそれにまつわる バイヤー小原氏の思考を通じて、関わる職人の素晴らしさと、エアエイジというセレクトショップのオリジナリティについてお伝えできたらと思う。

さて今回は、どのような『PEOPLE』と出会えるのだろうか。


  • PEOPLE


いつも“道具”だったベルト


「こだわりのベルトを買ったことって、ありますか?」

そう問いかけるのはエアエイジのバイヤー小原氏。ベルトは いつも“道具”止まりだったと、小原氏は自身を振り返る。

「そういえばベルトって、こだわって買ったことがないんですよ。なんとなく“道具”としてのイメージから抜けきらないんです。それはバイイングにも表れていて、例えば小物の仕入れをしていても、こだわるポイントと言えば ベーシックで丈夫であること。それから、革の産地やブランドの歴史ですね。モノ自体がカッコいいかどうか、それにテンションが上がるのかどうかは、ベルトにおいてそこまで重要視してきませんでした」

確かにベルトって、誰しもが 無意識に後回しにしてきたんじゃないだろうか。だからこそ小原氏は、スペシャルなベルトを買うという体験を期待して、今回のイベントを企画したのだそうだ。そこにはきっと まだ見ぬ感動があるはずだと。

「5年や10年で買い替えるベルトじゃなく、一生物として愛せるようなベルトを作りたいと考えました。そして今回のイベントでご覧いただけるベルトは、そんなアイテムになると思います」

一生物になり得る突き抜けてスペシャルなベルト。このアイテム実現の背景には、まず一人の職人の存在があった。


  • PEOPLE


職人による一生物の一本を


今回のイベントでは、革職人が実際に店頭に立つ。お客様と対話し、一緒に革を選び、計測。その後 東京の外れの工房(Rosaria Product.)にて革を漉くなどの絶妙な作業を行い、およそ数ヶ月後にお手元に届くという流れだ。


  • PEOPLE
|工房の様子


今回ベルトの製作をお願いする工房は、実は以前からエアエイジと繋がりが。

「エアエイジで取り扱っているビンテージウォッチのレザーベルトも、Rosaria Product.の革職人である細野さんが製作しているんです。どちらも尊敬する職人ですので、自分にとっては嬉しいコラボレーション。実はエアエイジでもこの二人によるビンテージウォッチのイベントを何度か開催していて、今度の7月にも予定しています」

ビンテージウォッチのベルトで その職人技に感銘を受けた小原氏は、Rosaria Product.の細野氏との会話の中で、彼が腰ベルトに関心があり、ビンテージのバックルを集めてバックルベルトを製作しようとしていることを知った。そこで、そのベルトをカスタムオーダーイベントとして是非エアエイジで紹介できないかと考えたのだそうだ。

「時計のベルトで、ミリ単位でこだわられた革の薄さや コバの処理など、丁寧なしごとを見てきたので、この方の作るバックルベルトなら間違いないという確信がありました。そして、既製品ではなくカスタムオーダーとして展開できたら、尚更この職人技を味わっていただけると考えたんです」

あとに触れるが、今回展開するベルトは バックルの存在感が非常に強い。さらにはビンテージなので、個々の形状の癖も強い。だからこそ その重厚感に負けないよう、革そのものはもちろん 縫製糸や塗料などにもこだわる必要があったし、個性的なバックルを現代でも楽しめるよう、難しい型に革をピッタリと沿わせることのできる職人技が必要だった。

これらはもちろん、簡単に叶うことじゃない。だけど Rosaria Product.の細野氏は、それができる職人なのだ。


  • PEOPLE
|こだわりの縫製糸

  • PEOPLE
|専用の工具を用いて



革は、高級靴のアッパーにも使われる 上品なボックスカーフを用意している。色は黒か茶色。非常にきめ細やかだがタフな素材で、直接肌に当たるわけではないが湿度や汗などの影響で劣化しやすいベルトというアイテムにおいて、ぴったりな素材だと言えるだろう。

縫製糸はフランス製の極めて天然繊維に近いものを。コバの処理にも、良い塗料を贅沢に使う。

バックルの形状に合わせて革を漉き、サイドを丸く処理して、コバは二度塗り。その人のためだけになされる手しごとの数々が、ベルト一本に詰め込まれる。

「スペシャルな一本を、当たり前のように身につけてほしいなと思うんです。腕時計を買うみたいに、一生物を見る目でベルトを見てほしい。このベルトはそんな嗜好に耐えられるベルトですし、腕時計や革靴を愛する方にも満足いただける至高の小物だと思います」

このベルトが“道具”でないことは間違いない。職人のしごとを感じる腕時計や革靴など、それが置かれているだけで空気の重みが変わるようなアイテムとも、ちゃんと肩を並べられるような、存在の確かさがある。

自分のためだけに職人技で作られるバックルベルト。本物にこだわるあなたが探していた究極のベルトは、これなのかもしれない。


  • PEOPLE
|上質なレザーで作る一本



国と時代を超えた2種類のバックル


それでは、ベルトの顔となるバックルには、どのようなこだわりがあるのだろうか。

「今回はバックルをとおして、時代と国を超えた職人に触れていただきます」


  • PEOPLE


オーダーベルトとして選べるバックルは、Rosaria Product.の細野氏が主にアメリカから取り寄せたビンテージだ。

これらは 1940年から1960年頃までのシルバー製のバックルで、当時の銀細工職人の手しごとによる 彫りや叩きなどのデザインが目を引く。14金とのコンビネーションやイニシャル彫刻も、古いものならではの良い雰囲気だ。ビンテージ好きなら垂涎ものだろう。

「無名のビンテージをはじめ、中には“Tiffany”や“Brooks Brothers”のネームのものも。当時の紳士のように一点ものとして長く受け継いでいただけたら嬉しいですし、ビンテージのアクセサリーを選ぶ時のように、どこか縁を感じるものを手に取っていただきたいです」


  • PEOPLE
  • PEOPLE


金属製のバックルは、男性用ベルトには15世紀頃から使われていたそうだ。そして次第にデザインがあるものが増え、今回のビンテージバックルのようにイニシャルを彫刻したものなどが生まれた。

このイベントのために集められたビンテージバックルを見ていて改めて思うのだが、当時のバックルベルトはきっと、長く愛せる特別なものだったはず。しかし時代の流れの中で、ベルトは次第に“道具”的な存在になってしまった。バックルもなるべく目立たず、シンプルなものが主流になってきたように思う。

「だからこそ、今 改めて自分だけのバックルを選ぶことに、意味があるような気がしています。当時の人はどのような気持ちで、イニシャルの入ったバックルを身につけていたでしょう。そこにはきっと、身につける楽しみや、誇りのようなものがあったはず。そして同時に、製作に携わった人の誇りも込められていたと思うんです。このオーダーベルトを通じて、そんな気持ちをお客様に届けることができたら幸せですね」


  • PEOPLE


これからちょうど、Tシャツ一枚でもファッションが楽しい季節。そこに一本、スペシャルなベルトを加えてみるのはいかがだろう。

遠い昔の銀細工職人の手しごとに 新しく息を吹き込む、現代を生きる革職人。国や時代を超えてつながる〝人〟の魅力が、今回ベルトという一本の線になり、あなたのことも繋いでくれるはずだ。

今回のオーダーイベントは、29日(土)30日(日)の12時〜20時まで。
Rosaria Product.が製作する 特別なバックルベルトで、まだ見ぬ買い物体験を味わっていただきたい。



※記事中の写真に登場するバンブーのバックルは、サンプルのためお選びいただけません。予めご了承ください







次の記事へ   前の記事へ