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「国や時代を超えて」JOJO / PEOPLE
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しょくにん【職人】と辞書で引くと、「手先の技術を使って仕事をする人」と書いてある。たとえば、大工・左官など。自ら身につけた熟練した技術で、つまり手作業で、物を作り出すことを職業とする人たちのことだ。寿司職人や家具職人など、後ろに職人とつくものを挙げるとイメージしやすいだろうか。

フランス語では、artisan(アルチザン)。これはしばし、芸術家を意味するartist(アーティスト)と対になる言葉として用いられる。時に、技術的には優れているが芸術性に乏しい作品への批判的な意味で使われることもある言葉だが、近年では伝統工芸などの技術維持が世界的に注目されていることもあり、その存在が重要視されつつあるそうだ。芸術は本来、熟練の技術なくして語ることのできないものである。そういう意味では職人=artisanは、静かな芸術家とも言えるのかもしれない。


「職人に憧れているんです」と話すのは、エアエイジメンズバイヤーの小原氏。
今回から始まるエアエイジ『PEOPLE』は、そんな小原氏が企画した〝人(職人)〟と〝人(お客様)〟をつなげるためのシリーズである。ファッションという垣根を超えた ものづくりは、消費という枠に収まらず、特別な体験を提供してくれたりする。そんな体験を、お店に訪れる方にお届けしたい。




第一回の本記事では、29日(金)から始まる「JOJO special custom order event」で展開されるエアエイジ別注アイテムにFEATURE。

京都祇園で百年以上履物を作り続ける老舗「ない藤」による、新しい時代のぞうり。
今回のイベントでは、マリ共和国・ドゴン族のビンテージファブリックを用いて、オリジナルの一足を作ることができる。


この別注アイテムへの想いと、そこに小原氏が見る『PEOPLE』について、話を聞いた。


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|エアエイジメンズバイヤー 小原氏


まず、エアエイジと〈JOJO〉との出会いについて触れておこう。

バイヤー小原氏が〈JOJO〉に出会ったのは、数年前。小原氏は、その心地よいバランス感覚に魅了されたそうだ。


「京都の工房に足を運んだとき、担当の方が、〈TEATORA〉のセットアップにオールブラックの〈JOJO〉を合わせていたのが印象的でした。京都の街並みの中、伝統的な履物が陳列される店内で、そのスタイリングは異質なようで絶妙。その心地良いギャップに魅了されたことをよく覚えています」

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|〈JOJO〉を展開する老舗履物店「ない藤」(京都祇園)


〈JOJO〉のカスタムオーダーイベントは、昨年に続き2回目の開催となる。
満を持して企画したこの別注アイテムには、思い入れが強い。

実は エアエイジのメンズセレクトは数年前から大きく変わってきているのだが、カジュアルからモード、そしてビンテージまで幅広く取り扱う現在だからこそ叶った、特別なアイテムだという。

自身〈JOJO〉のファンである小原氏は、エアエイジならではのアイテムを何か出来ないかと、ずっと考えていた。
そんなときに思いついたのが、以前から店にあったマリ共和国・ドゴン族の、藍絞りの布地。10年以上前から少しずつ集めていたビンテージのファブリックを、今回「鼻緒部分の生地」として使うことに決めた。


「一見民族感の強いファブリックですが、使う面積と、かたちのバランスで、さまざまなスタイリングにかえって生きてくると考えました。また、もともとマリの布は藍絞りなので、どこか日本的。相性はいいと思います」

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|マリ共和国・ドンゴ族による、手仕事の布地


およそ100年前の藍絞りの布地は、なるほど独特の風合いがあるが、そういう点では日本のぞうりの雰囲気も同じなのかもしれない。
どちらも、古くから伝わる熟練の技術をもって、美しいものづくりをしている。特に布地については、作家と会うことはもう叶わないだろうが、ものづくりに取り組む視線を想像すると、不思議と〈JOJO〉の職人とリンクするところがあった。

国や時代を超えて、このぞうりの上でまず、〝人〟と〝人〟とがつながった。

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ここで、冒頭の話に戻る。
職人の手仕事によるものを人に届けるとき、それが単なるプロダクトに留まるか、芸術ともいえるような作品になるかは、あるいは余白によるところが大きいのかもしれない。


「生地に限りがあるので、限定20足。本当はアソートにしたほうが、効率もよく沢山作ることができるのでしょうが、余白を残したくて、自分の好きなところを鼻緒部分に選べるという仕様にしました」


そもそも、別注アイテムを企画するときに、ショップ側のセレクトアイテムを用いて商品を作ってもらうというのは、かなり珍しいケースである。通常は、あらかじめブランド側と打ち合わせをして作ってもらった商品を展開することが多い。

エアエイジがもともと持っていた布地を生かして、新しいぞうりに昇華する。
しかも、お客様に最後の判断を委ねる。

これは、ビンテージまで幅広く扱うショップだからこその、そして顧客様はよくお分かりだろうが…ただ服を売るだけではない、エアエイジというセレクトショップだからこその、面白い企画だと言えるだろう。


小原氏は、こう話す。
「僕たち服屋というのは、ものづくりする人とお客様とを、つなげる仕事だと思っています。そのためには、ある程度の余白を感じていただくことも大切です。今回のように実際に選べることがなくても、想像できるような隙があるものに惹かれますし、そういうものを届けていきたいですね」

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|柔らかい藍の風合いは、女性にもおすすめだ


隙というのは、その道に精通した職人だからこそ生み出せる、絶妙な遊びだと思う。そこに余裕があるからこそ、私たちは一歩入り込むことができ、完全な受け手ではなく体験する立場として、その世界観をより楽しめるのだ。


「この先、物自体の魅力よりも、体験できるものかどうかが とても大切になっていくと思います。物を ハイどうぞ と届けるだけでは、その向こう側にいる〝人〟はお客様に届きません。エアエイジという店だからこそできる準備をして、お客様にはブランドの魅力のさらにその先を、体験していただきたいです」



国や時代を超えてつながったものが、さらに、〝人〟に伝わっていく。
今回の別注アイテムは、小原氏の願いの第一歩として、とても興味深いものになっていると感じた。


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コロナ禍になってから何か体験で感動しましたか?と、小原氏は唐突に私に尋ねた。
体験とは何を指すんだろうと回答に困っていると、小原氏は「僕は喫茶店です」と言った。


「一年ぶりくらいに行ったのに、名前といつも頼んでいたメニューを覚えていてくれたんです。かといってフレンドリーに接してくるでもなく、だけど決して無愛想じゃなくて、サービスも速すぎず遅すぎず。そこにいるだけで、マスターの人柄が伝わってくるような空間でした」

きっと何をするにも、体験が人生を作るのだ。
この別注アイテムは、小原氏の言うところの「体験で感動」ができる ぞうり なものかもしれない。

少なくとも2人の職人の想いが乗ったぞうりを、その向こう側を、今度はあなたが受け取る番だ。
国や時代を超えてつながる〝人〟の魅力を、ぜひ体験しにお越しください。


JOJO special custom order event
2022年4月29日(金)- 5月8日(日)
OPEN 12:00 / CLOSE 20:00





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